それは私が決めることだ。 君が得られる決はない。 ああ―――、いや。 君が哀願するなら一考しよう、……覚えておきたまえ。[彼の拒絶を一蹴する傲慢。 地上で見せた柔和は形ばかり、見目ばかり。 最初から彼を謀っていたのだと、地の底まで攫った男は最早悪俗を隠さない。 しかし、そっと耳孔に忍び込んだのは、彼の不意なる発露。 稚く、されど善悪を語るものでなく、まして、悪辣を詰るものでも無い。 ふ、と思わず膨らむ咽喉。 堪った笑気を吐き損ね、彼の掌中に甘い笑みがぶつかった。]