― パン屋に至る道 ―[両腕で荷物を支え歩くが、どうにも足取りがおぼつかない。自家製のチーズは重く、そこに濃くまろやかな味が詰まっているが故とはいえ、やはり持ち運びには不向きだ。]よい…しょ。…それにしても誰もいないなぁ。全然知らない場所みたい。[小道の両脇は香り立つ花の木、物足りないと言わんばかりにもこもこと加えられた花飾り、敷き詰められた花びらにと…柔らかい色で満ちていた。新鮮な景色の中で動くものはなく、時が止まったかのような錯覚を起こさせる…。]