―二週間ほど前―
[カサンドラを貸してほしい、と願ったら、父に顔をしかめられた。
カサンドラは現在、父であるストラ家当主に仕えている。
嫌がるだろうことは元より承知の上。父の顔を見つめていたら、ため息をつかれた。
数多くの側仕えのメイドやボディーガード、執事がいるというのに、よりによってなぜカサンドラなのか、との問いはもっともだっただろう]
カサンドラが適任なのですよ。
私がストラ家の者であるのを隠して、今度の万博に参加するのは父上もご存じでしょう?
船で移動するしかないのに、チケットは二枚しか手配できなかった。
私の護衛もできて、身の回りの世話も頼める。そして今度の企画の被験者も頼める。
彼女しかいないじゃないですか。