積んだか?
んじゃ、帰るぞー。
[再び湖面を震わす大声が響き渡ったところで、抗議するような水音がした。]
なんだ?
[振りかえれば水面からなにか得体の知れないものが何体もざばざばとわき出してくる。
なんとも言い難い見た目だが、例えるならばヒレのない魚に蛙の手足を生やして、藻や草を被せたようなもの、だろうか。
少なくとも、尋常な生物ではないのは一目でわかった。]
なんだ、こいつら。
[豪胆で鳴らしたゲオルグもさすがにたじろいだ横で、材木商が悲鳴を上げる。
『ひぃっ!こいつがうわさの化け物っ!』
叫ぶが早いが、脱兎の勢いで走り去っていく。]