[具合の悪さにつられるように、心が俯く。
まさか、1on1の訓練だったとは――。
顔を合わせれば、誰彼構わず甘い言葉を投げかけるこの教官は、女性に対してだけではなく初対面である自身に対しても同じような言葉を向けるのだ。
彼にとってはほんの冗談の一つだろうが、軍事以外のそういった経験値も自身と彼とでは格段に違う。
曖昧な言葉で交わすのは些か骨が折れるのだ。
さり気なく視線を投げかけ、ソマリの様子を伺う。
教官のプライベートに口を挟むつもりは無い。彼が出来る人だということは、この数ヶ月ばかり下に就いていたことでも十分に理解している。
この訓練の間に、彼からスキルを盗んで身に付けよう。
優秀な成績を修めていれば、いつか。
あの人ともまた、再会出来るかもしれない。
かつて父が開いたパーティで一度だけ、出会ったあの人に――*]