[爽やかな風に生ぬるい独特の臭気が混じり始めた。
黒い光が立ち昇る渓谷にほど近い場所には、幾つもの温泉を有するアチコー村がある。
話には聞いていたが、訪れるのは初めてだ。
渇き始めぱりぱりになった髪を手で払いながら、大鷲の首元あたりの毛を引っ張る。]
そうだな…別にこのままでも構わないが。
半端に渇くと動きづらくなりそうだ。
[さらっと後半のセリフを聞き流しながら>>28、次の任務に想いを馳せる。
突如として現れた光の柱を視界に収め、思案する顏へ。]
…今のところ、周囲の魔物に影響を及ぼした、という話は聞かないが、守るべき民に余計な不安を与えないためにも原因を突き止め、しかるべき対処を施したいところだ。
あのような力を持つ魔物は知らず、どのような強敵であるかもわからない。
備えは万全にしておくべきだ。
[其れでも、負ける気はしない。何故なら、負けられないからだ。
むしろ、まだ見ぬ敵に対して興奮とも呼べる熱き思いが胸に灯り、発露の瞬間に焦がれている。
あらためて、此れが私の生きる道なのだと、噛みしめながら。]