[幼い、けれど聡明なリーザ。手を引いて歩いてくれた優しさを思い出す。
そんな少女との仲睦まじい様子が微笑ましくて、ジムゾンのいる教会にもよく足を運んでいたっけ。
元軍人のフリーデルの話は、目の見えない自分にも色鮮やかに想像できるくらい面白い。
ディーターがそこに加われば、どんな時でも場の空気が和んで楽しいひと時を過ごせた。
時折パンを届けてくれたペーター。成長しないが故に変わらぬ声には、実は安心感があって。
パンを買いに店へ行けば、オットーと二人、仲の良い兄弟の掛け合いが少し羨ましかった。
冬の間しか村へ戻って来ないアルビンとは、もっと会話を…互いを知る機会があればいいのにと。
対してヴァルターは、両親を亡くしてからというもの、特に目をかけて心配してくれていた…
……そんなことを、思い返して。]