[ 一角獣の癒しの力を受けたとはいえ、すぐに傷が跡形もなくなるわけでもなく、ローランドがやってくれば傷の治療は適切に為されただろう。もしも動けなくなった方の原因を問われれば ]
この剣は、精霊力やマナの代わりに俺の気を吸って力を放つものなのでな。使いすぎるとこうなる。
[ 事も無げにそう告げる。
その力を得るためには剣との同調とでもいうべきものが必要で、結果、剣を手にして以降、肉体の時間が止まっている、というのは、治療には関係なかろうと口にしなかったが ]
何、そちらは休めば回復する。この角のおかげで戻るのも早そうだしな。
ユーリエにも使ってくれ。
[ 大丈夫だという証拠に、自力で起き上がり、治療を済ませたローランドに一角獣の角を手渡した ]
トール、お前もだぞ。
[ そして既に治療そのものは終えているトールも、角による回復促進の恩恵は受けられる筈、と、傍に控える男にも、そう念を押しておいた ]