[友人の兄であり、考えが近い故の安心感もあったのだろう。信じていた。信頼していた。だから腕を振りほどくという選択肢が脳裏に浮かぶのはすでに逃げられなくなってからのこと。偽りの騎士が地に膝をつく。太陽の光が消え、妖しい月が輝きを帯びていく。感謝と謝罪が朧な闇に響き、死の宣告を落とす背に負った月が、一際、綺麗で。]