────っ、
[一目見て、男は直ぐに通路へと頭を引っ込める。
向こうが一時顔を逸らしていたのは僥倖だったろう。
男は通路で驚きと焦りに早まる鼓動を抑えようと再び深呼吸した]
……何とまぁ、面倒なものを召喚してくれたね。
バジリスク……毒と石化の目を持つ魔物か。
[目にしたのは召喚陣の上に立つ
あれもまた、今では伝承にしか残らぬものの一つだろう。
対処法も残されていたはずだが、平和な時代に不要とされ途絶えて久しい]
外に出ないだけ良いが……さて、どうしたものか。
[侵入は気付かれていても、ここまで来ていると気付かれていないなら事前の対処をして然るべき。
男は通路をもう少しだけ戻って、可能な限りの準備をすることにした]