[ ベルガマスコの身体から溢れる鮮血の甘い匂いに、
脳内のガルーが、反応するように、モゾリ、蠢く。
仲間の為に、“人狼”の喉笛を食い破った牙が、
部下の為に、多くの人間の命を奪った手が、
赦されない罪の痛みと――……歓喜に、ずくりと疼く。
守るためには―――…誰であれ躊躇わず、殺せ!
脳内のガルーの、眩暈のするような甘やかで強烈な囁きを。
ぎりっと、血の滲みかける程唇を噛み締めて、辛うじて鎮める。
殺すべきは、人狼と疑わしい相手だけだ。
守りたい船があるから、人がいるから。
まだ負けるわけにはいかない…完全な獣に堕ちるわけには。]