[ 駆けながら、一度、矢の飛んできた方向に視線を向けた、遠く見えた姿に、僅か見覚えがあるような気がしたのは錯覚だろうか? ]
[ だが、今はそれにも構う事は出来ず ]
おら、邪魔すんじゃねーって!
[ 騎馬を阻むための壁となろうとする重歩兵の喉元を狙って長槍を突き入れる。浅くとも急所を狙った槍先は、迫ろうとする歩兵を少しは怯ませたか ]
うおっ!
[ しかし、こちらも歩兵に阻まれ足が鈍れば、また矢の雨が馬上を狙う ]
...たく、侮れねえとは、判ってたが、なっ!
[ ここまで優秀とは思わなかったというのが正直なところ、それでも、未だ退くという判断はしない。
敵兵の喉から抜いた槍を振り、矢を払う。
盟主を狙う意図はある、だが、それが簡単に為せるとも思っては居ない。
それでも、退かぬ理由は、自分を狙う矢が多ければ、他を狙う矢は減る。そんな単純な理屈だった** ]