― 廊下 ―
[仕事が終わる頃合だろうか。
廊下でフィオンが一人で歩いているのを見つけると
こちらから歩み寄って小さく声をかけた。]
フィオンはズィーネ中尉と親しいと聞いたのだけど、
……少し相談に乗ってもらっていいかしら。
[少し左右を見回して人がいないのを確認してから
フィオンが嫌がらなければそのまま立ち話を続けるだろう。
場所を移した方がいいなら人気のない場所を選ぶ。]
ズィーネ中尉に避けられているみたいなの。
少し話をしたかったんだけど、
中尉は何か言っていたりしなかったかしら。
[あの時の取り乱した様子が原因なのは予想がついたが
他にも理由があるのならと探りを入れる。
女性恐怖症だったらさすがに距離を取る必要があるだろう。
フィオンからの回答を待つ間、
なんだかほの甘い香りを感じて出処を探るように視線を振った。**]