……何かを探しているのかな?人探しであれば、見当違いだよ……ここには、『ヒト』はいない。[澱みなく綴られる言葉は、何を思わせたか。返される言葉を聞きながら、ゆっくり、一歩ずつ距離を詰める。そうして近づくにつれ、何かしら、近しいものを感じ取った気がした。──他者の都合に塗り固められて動けずにいた、『シルヴィオ』と呼ばれたものの記憶の残滓が何かしら響きでもしたのか。理由はどうあれ、猫を名乗る奏者は、そう、と差しのべた手を対する少年の頬へと触れて]