[かつての友軍の持つ銃が火を噴く度に肌に生まれる穴は、みるみるうちに肉を盛り上げ鉛を吐き出し肌を塞ぐ。
その間も小物は痛みを感じないから、怯むこともなく彼らとの距離を詰め、ポケットから両手を抜き出し一回転、その場で舞って見せるのだった。
手先の軌道に沿うように、元友軍らの首に咲かせた赤を辿ったなら、小物のもつそれが刃物のようなものでることに気がつけるだろう。
近すぎる襲撃者を相手に取ってのライフル弾では分が悪い、故にかつての友軍が小物に向けるはサーベルにショベルに銃床と、ナイフでは少々分が悪いものとかわる。
とはいえ小物は被弾を気にしないものだから、打撲も刺傷も気にせずに、刃を閉じた拳で殴りつけ、銃を持っていないように見える拳を押し付け、接触距離から銃弾を放つ。
絡繰りを知らねばなんと恐ろしい生き物だろう。
小物などと呼ばれる怪物を相手どった者達に、やがて恐慌が生まれ、それはみるみるうちに伝播した。
そうなってしまえば、小物に負ける道理はない。
ただの的と化したかつての友軍を壊滅させるのに、それほど時間はいらなかった]