>>26>>27>>28 ヴィオ
[何の飾り気もないプロポーズを、彼女は怒ることもなく、呆れることもなく、いつもの笑顔で受け入れてくれた]
――――…うん。
[そして傲慢にも、それが当然のことであるかのように男は静かに頷く。ただ、努めて態度には出さないようにはしていたが、声には幾分安堵したような響きが残る。
しかし結婚するって何が必要なんだろうか。自分に無縁なことだと考えていたので、今一つ実感がない。まあ良いか。彼女が居てくれれば、それで]
ああ、そうか。うちだった。
何か食い物あったかな。
[朝食と言う言葉にはっとして、気だるげな視線をキッチンへと向ける。ちなみに自炊は殆どしないが、調理器具は申し訳程度には揃っている]
雪掻きは店の前だけにしておけ。
屋根の上も要るようなら後で俺がするから。
[何となく既視感を覚えつつ、釘を刺しておく。聞き流されるような気がするから後で様子を見に行った方が良いな、とは口に出さないまま、キッチンへ向かう彼女の後ろへ続く]