― 用具室前 ―
あ…………。
[大切な者に取り残されて、何もかも拒絶するようだった青年の、無残な姿がそこにあった。]
[不思議と、叫び声は沸き上がらなかった。]
あたしが人狼なら……
たとえヤコブを襲って得する事が何もなくても、こうしていたかもしれないね……。
[ぽつりと呟かれた言葉を、聞いた者はいただろうか]
……誰か来ておくれ!
ヤコブが……ヤコブが襲われてる!
[その場に誰も居なかったなら、自分が離れるわけにはいかないから。
宿中に響くように、声を張り上げた。]
[そうしたら、また、大きな咳が零れた**]