[ ガートルードの声は弱く、今にも消え落ちそうに感じられた。
僕の知る彼女は戦場を華麗に舞い、鼓舞する戦女神であり
血塗れた僕を保護し、面倒を見てくれた優しい副艦長としての姿。
だが今の彼女はそのどちらでも無い──
今にも崩れ落ちそうな、か細いひとりの女性としての姿。]
ああ……。僕の部屋か、君の部屋でいいかな?
落ち着いて話を出来る場所ならどこでもいいよ。
僕は先に戻っておくから……。
[ スノウに連絡を飛ばすと、間もなくドロイド達が駆けつけ
ディークの遺体を搬出する>>20。
その間僕は彼に触れることも、直視することも出来ずにいた。
目を反らし、焦点の合っていない薄藍で
血飛沫が飛散していない花々をぼうっと見ていた。
ただ、背後で起こっている現実を物音だけで感じ取る。]
[ 彼女が内なるガルーと抗っていたのと同じく
僕もまた、同じように抗っていたのだから。]