[そっと彼女のその手を、両手で胸の前で合わせる様に戻した。他に部屋に誰かがいれば、その様子―斑点があった事―を告げただろう。それからもう一度ローレルを見るとやがてゆっくり話した。]
君は…自分を責めるなと私に言ってくれた(>>4:80)
今の私はどうだ。どんな顔をしてる?
[これ以上この場にいたら、自分からどんな弱音が飛び出すともわからない。昨日決意したばかりだというのに。]
…グリーングリーンはね。
辛く悲しい時にも泣くんじゃない。
そんな歌詞なのだが、言いたかったのはそこではない。
7番でようやくさ、自分が大人になって子供を持って、
その子供に語るんだよ。
この世に生きる喜び、そして悲しみの事を。
君に伝えたかったのはそれだ。
そんな風に…生きて欲しいと思っていたんだ。
[君が歌ってくれた事は忘れない。そう呟くと布団をもう一度そっと掛け直し、何事もなければ部屋の外へと歩き出す。それからは、もう、振り返らなかった。]