―根城・夜明け―[元の姿に戻り、根城の玄関へとドアノブを手にかける頃には東の空がうっすらと明るくなり始めていた。こっそりドアを開け、霧となって移動すれば台所で手を洗い朝食の支度を始める。まだパン屋も空いてはおらぬ時間だ。今日はキッシュでも作ろうと人参とほうれん草を取り出し下ごしらえのもと、卵を用意してフライパンで焼き始めていくのだった。朝のパンはあの二人に好きなものを小遣い渡して買ってもらおうかと考えながら。]