― 『神魔の領域』 ―[ 風>>28を背後に、森を進む。矢が届くことは、もはやなかった。太古の森はあらゆるものを包み込んで深い。その中に時折、何かの気配を感じる。それは木漏れ日をとらえて翻る動きであったり、風に混じる香りであったり、木々の呼吸めいた音であったり──姿なき視線もまた幾度か首筋に触れてきた。この森が『神魔の領域』 と呼ばれる所以でもあろう。伝承を思い出す。立ち入りを許されたものは、ある『試練』を勝ち抜く事で己が願いを叶える資格を得る、と。]