― 回想 ―[その時、奏者がそこにいたのは、全くの気まぐれだった。銀なる『種』を受け入れる以前、表側の全てを捨てて来た後の数年を過ごした、ダウンタウンの教会。管理するものもなく寂れていたその場所には、誰もいないはずだったのに。彼は、その時その場所にいた]……そこで、何を?[そこにいるのが、人の子だと知れて。常ならば関わりを持つ事なく立ち去るか、逆に立ち去らせるのだが、その時選んだのはどちらでもない、声をかける事]