― 大森林 ―
[昏い森にそびえた大樹は、今や枝先から硝子化が進み、少しずつ砂と化して行く。
いずれこの一帯は雑草一本の生息を許さぬ不毛の沙漠となるだろう。
鏡は失われた。
最後の所有者の首の無い亡骸。其処にもう魂は無い。
数千年一族を導いた祖の声も、此処にはもう無い。
それでも、”影”は続いていく。殆どの同胞は存在理由の総てを失ってなお、何一つ疑わなかった。
あの日、デーモンロードが打倒されるまでは。]
……、永い、永い夢が覚める。我等の夢は、覚めてしまった。
[きらきらと降り注ぐ粉々の硝子片を、少しだけ悲しそうに見上げていた。]