[スカートの裾を汚す土色が何とも背徳的で…
などと続けて論者めいて言葉にしていると自身に危険が及びそうなので、木上に注意しながら拙者はたったかと木の近くへ――というより先ほど投擲した傘の近くへ――走り寄ろうとする。]
乙女が全員お嬢さんのように曲者なら拙者、
にぃとを廃業しなければならないところでござるな。
故に――信じたくない!
[樹上の銀色の光>>27はどう見ても金品には見えない。
平和的解決を望んでいないことは火を見るより明らか。
手にしていたもう一本の傘の柄で投擲した傘の柄を引っ掛け、警戒も顕に振り上げたその瞬間、聞こえるのは風を切るような鋭い音。
パッと開く黒い傘の傘布はあくまで普通の作りでしかないので目くらまし程度にしかならぬことはよくわかっているのだ。
――…すり抜けた刃が着ぐるみを裂いて肌を傷つけるほどだから。]