[甲板を叩く硬い踵の音が耳に入ると同時に、後方から届く声に意識が向いた。]
ソマリ…、教官……?
[その名を口にするや、は、と焦った様子で体裁を取り繕う。
よりにも寄って、一番見られたくない相手、その人だ。
腕を見込まれて望んだこの特別訓練。
その訓練すら始まっていないというのに、醜態を晒すなんてことはしたくない。
肩口にソマリの手がかかるよりも束の間ばかりか早く>>14、力の入らない四肢を鉄柵で支えながら立ち上がる。]
お気づかいなく、俺なら……っ、う、わっ…!
[波で揺れる船体にバランスを崩し、咄嗟、ソマリの左腕に縋るように勢いよく倒れ込んでしまう]