―過去のお話・2度目の冬と、その後と―[春になり、男は再び村を出る。しかし今回の旅は、いつもとは少しだけ違っていた。男の目に映る世界は、白と黒とくすんだ灰色がかったものであったのに――露店街に並ぶボタンやリボンや布地が目に入ると、その時だけ世界が鮮やかに色づいて見えた] ……補修してもらったお礼に、何かお土産でも買っていこうかな。[ぽつ、と呟き、思い浮かべるのは、新しく村にやって来た仕立て屋のエルナの笑顔。あそこは山間の村だから、あまりこういったものは手に入りにくいだろうからと]