ーそして巡る月ー
[サシャは軍の記録が、殉死と書き換えられた。
二階級特進とはいえ、新兵だからそこまでではないが。
話は美化に美化を重ね、戦場の狙撃姫などという称号がついたとかつかないとか。
暫くカスパル様を見守っていたが、ある時何かに引っ張られる感覚があり、意識が途切れ…。]
『フィオンちゃーん、また明日ねー!!』
また明日ね〜!
[どこの輪廻かはわからない。
手を振って別れた『ドロシーちゃん』は、近所の幼馴染。
そのお父さんは『カスパル様』
初めて僕を見た時の、カスパル様の顔が忘れられない。
僕は知らないふりをしてあげた。偉いでしょ?
今度は、カスパル様も、ドロシーちゃんも狼様だから。
もう、悲しい別れはきっとない。
人の血を、肉を望むなら僕のをあげるからね…
カスパル様の幸せを脅かすものは、何人たりとも許してなるものか。]