[ 相手の纏うこの空気は何だろう?
男の知る帝国扶翼官ルートヴィヒ・アルトハーフェンは、モルトガット皇帝とその理想に純粋なる忠節と秘めた情熱を捧げつつ、外に向かってはあくまで感情を抑制し、有能で冷徹な皇帝の懐刀...まさに扶翼たろうとする人物だ。
宣戦布告の席で垣間見せた烈光の気も、相手がゲオルグだったが故のことでは、常日頃、感情を表に...ましてや敵に見せる人物ではない、と思っていた ]
シードルは?
[ 手にした瓶とグラスを示しながら、じっとルートヴィヒを見つめ返し ]
話をしに来たのではなく「俺に会いに」来たわけか。
では、先にそちらを伺うのがご足労願った礼儀だな。
ルートヴィヒ・アルトハーフェン殿、俺は貴殿を怒らせるようなことを、何か仕出かしたか?
[ 男は静かに、そう尋ねた// ]