―2日目・AM9:30・第五訓練場―
[先程から相手>>30の様子がおかしいことに気付いてはいたが、徐々にその頬が赤みを帯びるのを見ればひとつの可能性が思考の隅でちらついた。
男女問わず――とはいえ、ほぼ異性から――そういう感情を向けられた経験はそれなりにある。そして、たった一度の例外なく、感情を向けて来た相手とは距離をおいてきた。人をからかって遊ぶのは好きだが恋愛感情ほど後腐れして面倒なものはない。
相手とも距離を置くべきだ。そう思うのに、開かれた唇の間へ花弁をそっと差し入れると、己の指は彼の口端についた砂糖を拭っていて]
味を感じる手段なんて色々あるよ。
君が知らないだけで、さ。
[いつもの気まぐれなのだろうか。
この男が本当の自分を取り戻すさまを見てみたいと思うのは]