[真っ赤な薔薇が咲き誇る庭に人影はなかった。玄関をノックしたが返事はない。ノブを回すと、簡単に扉は口を開けた。]
妙だな…中に入ってみよう。
ローゼンハイム、シメオンだ。上がらせてもらうよ。
[中は電気が煌々とついていた。声を掛けながら部屋を見て回る。
ローゼンハイムの部屋と思しき部屋の扉を開けたとき、一瞬生臭さを感じ、反射的に閉めた。]
ユーリエ、わたしがいいというまで、目を瞑っていてほしい。
[ユーリエが目を閉じたのを確認すると、…はバタフライナイフを構えてその扉を開いた。
ーー中には、無残に喰い殺され、ベッドにもたれかかるローゼンハイムと思しき死体があった。…はガックリと肩を落とす。
そばにあったシーツを使い、死体が見えないように覆い隠した。]
ローゼンハイム……安らかに眠ってほしい。後で男手を連れてきて運び出そう。
…ユーリエ、ローゼンハイムは亡くなっていた。人狼の仕業だろう。可哀想に、ああ…
死体は覆ったから、目を開けてもいいよ。
大丈夫かい?ユーリエ。
[息を飲む彼女に心を痛めながら、共に手がかりを探した。
ユーリエが手記を見つけ、読み上げる。]
ローゼンハイムは人狼について調べてくれていたんだね。
人狼にも種類があるのか……うん、戻ってみんなにここのことを伝えよう。
[2人は宿へ戻ると、見たものと手記の内容を伝えた。]