― 東の森 ―[ 空に散った妖魔の気配は、森の中を身を隠すように歩んでいた白鹿を驚かせた。怯えるように地に伏せた鹿の足元に、やはり、何かに驚いたらしいモグラが、穴から首を出す ][ 白鹿が鼻先でモグラに触れると、モグラの黒い毛皮はたちまち緑がかった白に変じたが、すぐに土中に隠れてしまったから、それを目にしたのは、取り残された雄鹿だけだった** ]