……メル………。[久しぶりに。本当に久しぶりに、彼の声を聴いた。河を挟んでいたときは、聴こえなかったから。溜息のようなそれは。掠れた声で名前を囁いて。どれだけ耳を澄ませても、それ以外の声は聞こえなかった] メル、メル。……どこにいる? [口にしてから、自分の阿呆な問いに眉を顰める。彼が公国にいるのなら、居場所など言う訳がないのに]