[剣と槍が幾度か噛み合わされ、再び離れる。その衝撃に、じわりと背の傷が開いて男の腕に血が流れた。腕を伝った血が、槍の柄を赤く濡らしていく。] …───、見事。[低く一言、そう洩らした。目前の男とて、無傷ではない。むしろ潜り抜けて来た道のりを思えば、疲労困憊であるだろう。けれど気迫は決して衰えてはいなかった。その剣に宿る気も、瞳に宿る光もだ。それをみとめて、老将の目もまた鋭い光を宿す。]