[完全に余談であるが、宿屋ではオットーの店にはオーソドックスなパンを注文している。それは宿屋の女主人たるレジーナの意向だ。時折季節の収穫物を扱った品を頼むことはあるが、基本的に注文する内容はほぼ変わらない。
いつも同じものを、同じ品質で。
それが宿屋のスタンスであり、言い換えればどんなサービスを提供したいかの意思表示であると、従業員として働きながらいつの間にか理解していた。
アップルパイを作ったとき、完成品を見てオットーが呟いた言葉>>3は知る術はない。勿論、普段人が理想とするパンを焼いている行動の底にあるものすらも。
けれども、自分がどのような価値を提供したいと願うかと言われたとしたら、それは大げさ過ぎないかと照れるに違いない。]