[本音で言えば、戦いたくはない。
けれど甲高く鳴る弦の音を合図としたように、大きく息を吸って、吐いた。
水中では必要なかった呼吸の動作]
ええ、でも……。
それが呼び出された者として、やるべき事ならば。
[片手を床に着き念じれば、白蛇の半身は人間の二本脚へ変じる。
同時に月白の衣は、膝下までの丈のある貫頭衣へ。
片膝の姿勢から立ち上がり、素足は感覚を確かめるように二三度床を擦る]
やって、みせますわ。
[久し振りに身を支えた両脚には、隠し切れぬ震えがあった。
それでも眼差しは真っ直ぐに、己の主を見据える**]