― 王の間 ―
[わたしはその発表>>3を聞いた時、上官であるアイリ総督の背後に控えていた。
ゾネス要塞にも届いた国王陛下の訃報に、急いで王都へ駆けつけるアイリ総督の護衛任務を担っているからだ。
空になった玉座の前で、尚書長官が”王位継承者”の名を読み上げる]
……!
[その名前は、予想に反していた。
一ヵ月前にお使いで王宮に出向いた時の事、直接対面したフェリクス王子は噂に聞く人格者そのものだった。
身分隔てなく接し、あの時その場にいた宮廷画家と自分の身を案じてくれた。>>11
尉官といえば、士官の中でも最下位クラスだ。
普段であれば、王子と直接言葉を交わす機会など、まず訪れない方で、身分は雲泥の差だというのに。
正に王たるにふさわしいと思ったから、わたしは内心で”やっかいだな”なんて思っていたのだけど]