[そのまま外を見ていると、正門の前に車が止まり、中から軍服の人間が降りるのが見えた。
その人間は、そのまま走って屋敷の方へと向かってくる。
火急の用事かも知れない。その男と会うために屋敷の入り口のほうへ向かう。
数分後、案の定入り口で待たされていた軍服の男を見つけた。]
何かあったのか?このような時間に上官の私邸へ乗りつけるなどただ事ではあるまい。必要があれば小官から閣下へと取り次ごう、要件を言え。
[官姓名を告げ、声をかける。聞けば巡回中の兵士が壊れた放送スピーカー見つけたとのこと。それが風で落ちて壊れたもので無く、何か人為的な力で叩き壊されていたこと、などを報告してくる。]
この天気では放送が必要になるかも知れないから報告に来たと。
馬鹿者、その程度のことを指揮官殿のお耳に入れる必要などない。早急に練兵場に戻り、当直の者に人を集めさせろ。指揮は小官が取る。行け。
[言った内容をそのままに、一筆したためると伝令の下士官へと渡す。その下士官はそれを受け取ると、敬礼をして雪の中へ走って行った。]