[たまらなくなって、フラフラと外を歩いた。
久々の地元の空気は懐かしく、幼い頃通った通学路から、よく散歩した道、公園などをあてもなく歩いた。
……と、公園に、彼はいた。
幸い、…の時は半裸ではなかった。青いツナギ姿の仮面の男に、気が付いたら洗いざらい喋っていた]
母が。本当は孫が見たかったこと。分かってるんですよ。
可愛らしい孫を思い描きながら、庭に植えた木蓮の世話をしていたこと。知ってるんです、そんなことは。
[『あんたにも、良い人ができればいいのにねぇ』と、優しく微笑んで見せた母。その胸の内を、本当は痛いくらいに理解していたのだ]