おみせもやども、あるんじゃないかしら。
ドリィ、おんせんのあるやどが いいです。
[ほら、さがしましょう、なんて。
にぶい銀の義足をぱたぱたと揺らしながら、人通りのある方を指さして。
気づかうような視線も、そらされそうになった話題>>24もなんのその。
従者が嫌がっていることをしらないドロシーは、まだ見ぬ温泉に思いを馳せるばかりです]
あーちゃんも、たまにはいっしょにはいりましょう?
いつも ドリィのからだを あらうだけじゃないですか。
[すねたような口調は、彼に気づかれてしまったでしょうか。
いつも彼にはお世話してもらってばかりですから、たまには此方からも、と。
そう思ったのですけれど、やっぱり断られてしまうかしら。
――そうして。ふいに向けられた視線>>27に気づけば、こてりと小さく首をかしげました。
警戒したような相手の様子は、なんだか面白くありません。
別にわるいことをしに来たのではないのですから、堂々としていればいいとは思いますけれど]