もし、ローレル嬢が戻られましたらこれを彼女に。
[そう言って取り出した羊皮紙の束は、序歌を書き加えた未完の詩篇。綴られているのは序章から第二章4節までと、第三章の章題のみ。]
約束はまたの折に、と。
それだけお伝えいただければ。
[戦禍の果て。終章の前となるよう願って題打ったその詩を、紡ぐことができるだろうか。]
それでは、ロロンド卿もお元気で。
次は雨宿りのお礼に、異国の茶菓子でもお持ちしましょう。
[名残惜しさに約束を交わす。この御仁がこの地を去るというのがどうにも想像できなかったのもあるが。年を重ねた御仁とは、今生の別れとなるのかもしれない。そう予感してしまうほどには、ここ数日で失われたものが多すぎた。**]