な、 に を……[ウェルシュが最も衝撃を受けたのは、兄の瞳に宿る憎悪だ。緑の瞳に宿るその激しさに、ウェルシュは呆然とした。不安がまるでなかったとは言わない。このところ、時折感じたどこか余所余所しい空気。視線。けれどそれも、王位を巡るこの数日のことだろうと思っていた。第一王子であり、優秀な武人でもある兄にとって、王位継承権を弟に取られるなど屈辱であるには違いなく、その所為で機嫌が悪いのだと───それでも、いずれはまた元に戻ると、信じていたのに。]