[案内された部屋の前で、ひとつ息をする。部屋の中からは低い旋律が聞こえたような気がしたが、良く聞くよりも先に案内の兵が扉を叩いた。開かれた扉の中に歩み入り、部屋の主の顔を見る。] ─── まともな歌も歌えるのですね、タクマ・ナギ。 あなたに、お会いしに来ました。[目も口も笑みを形作っていたが、瞳には雷雲が漂っていた。]