彼女は必死になって働いた。真面目に、誠実に。
給料も殆ど父に仕送りしていた。
彼女の仕事は「警備」や「護衛」などが殆どだった。
長時間立ち続けたり、何も起こらないままただ時間を過ごす仕事は花形とは言えず、不人気であった。
しかし、それでもそれらの仕事には一定の需要があるものだ。それらを彼女は粛々とこなした。
何も起こらない場所で、何日も、何週間も。ただ立ち続ける仕事だったが、彼女は誠実にやりのけた。
時たま起こるアクシデントには確実に、厳正に対処した。凶悪犯を確保した時も少なからずあった。
彼女の仕事ぶりは評価され、社会からの「信頼」も徐々に増えてきた。それに比例するように給料も増えていった。ネームバリューというやつだ。
その名を聞きつけたのか、一人の男が仕事を持ってきてくれた。
『門番として働かないか?』
クレステッド=ローティナーその人である。
ガートルード=ゲーティア、24歳の頃の出来事だった。