――……そうでありますか
[ カスパルの返事は、カシムにはとても納得行くものではなかった。 ]
……『運命』でありますか
[ 『運命』という言葉を聴いて、やっとカチリと何かが記憶の底で一致する。
ふいに涙が流れ落ち、直ぐにそれは滂沱となる。 ]
自分は…、自分の『運命』は……
――…おそらく"見届ける"ことだと思うであります
もし、もし抗うのであれば、それはサシャ殿が生きていた時であったはずであります
もう、なにもかも遅いのであります……そう、この記憶さへも……
[ ぐしぐしと顔を拭い、目を真っ赤にしてカスパルへと敬礼する。 ]
サシャ殿の事、お答えくださり感謝であります!
[ これから宣言通りカシムは傍観者に徹するだろう。
……おそらくこれが『運命』であるなら自分はまだ死ぬことはない。
そう、二人に託されたものを渡すその時まで彼は『運命』に身を委ねる選択を取ったのだ。* ]