[しかし、それは叶わなかった。]
っ!!
[ビクリ、と彼の本気の怒号>>2:389 に大きく目を見開いて。
まじまじと彼の顔を凝視する。
こんなに怒った顔をみたのは初めてだった。
差し出したナイフが、行き場を失って、ふらふらと揺れる。]
……殺してない。
でも……信じてくれるなんて、
……思って、なかった、から……。
[そう、伝えた途端、ポロリと、目から涙がこぼれた。
あれ?おかしいな。
悲しくて辛くて苦しい嫌な感情は、訓練で殺すことが出来るようになったはずなのに。
いや違う。
いま感じているのは歓喜だった。
"生物兵器の被検体"
その事実を知ってなお、信じてくれようとする彼に対する喜び。
――信じるもなにも、目の前の男が"人狼"であることさえ気付けずに。 ]