――お休み、ゲルト。
[己から見たゲルトは、冬という季節の一部分になっているかのように見えた。冷気に絡め取られ、体現する死に侵されて。その様子は残酷で――瞬間に燃え尽きる星の煌めきのようで。昨晩見た月の妖艶さとどこか重なって見えるのだった。
その後、誰を呼びに行くでもなく漠然と遺体を眺めていた。他の誰かがやってきてこの様子を見たのであれば、知人の無残な姿に呆然としている様子と捉えられることもあるだろうか。
いずれにせよゲルトが死んで、その犯人――それが人狼であるかどうかはともかくとして――がいるのは明らかで、とは言うものの、人狼が本当に現れたのだと皆が確信に至るまでそう時間がかからないのかもしれない。と、やはり漠然と考えるのだった。]