[ 薙いだ爪の方向から生暖かい飛沫が飛ぶ。>>26
人ならば顔を顰めるような鉄錆にも似た臭い。
…けれど、人の姿を取っている獣の鼻からすれば、
脳髄の餓えを更に助長させるうような芳しい匂い。 ]
君に"本物"だ、"偽物"だと言われる覚えはないな、
たかが数度顔を合わせただけでよく知っていると?
あまり自惚れない方がいいぜ、おじさん。
[ 皮膚を割いた感触に瞳を細めながら、
頬に付いた飛沫の欠片を舌の端で舐めとる。
…それは、酷く背徳的で甘い味がした。 ]
僕の思考パターンが君の不都合なように変わってしまったら
君は僕を拒絶するのかい?それは"エゴ"ってもんさ。
[ 爪が"彼女"を傷付けたと知れれば、
脇腹に白銀の刃の追撃が飛ぶ。>>25
それを避けようとすれば――その場に立つのは金色の狼の姿。 ]