[牙を抜き、意識のなくなった薄い身体を抱きとめる。聖女の血に倒れずには済んだものの、力を振り絞った後の疲労感が打ち寄せてきていた。城主はこの少女に会いたがるだろう。最初に、ヴィンセントの傷を通して彼女の血を味わってから、ずっと焦れていたに決まっている。もっとも──ギィも今は、ジークムントとの逢瀬に忙しいと思う。愛に一途なギィの邪魔はすまい。その間に、ユーリエを温浴室へ運んで、傷つき汚れたその身体を清拭せんと、横抱きに抱え上げた。]