[それでも、願いを叶えられないことについてどう思うかを耳にすれば、>>26
困ったような顔つきになった]
……“天命”ね。
確かに持って生まれたものはヴェルにもわたしにもある。
でも、……刻は戻せなくて、過去は変えられなくても、
未来なんて、……それこそ神さまにしかわからないものじゃあない?
[そう、神さま自身か――あるいは、それに等しいものにしか。
ヴェルが湖の島に立つ東方じみた建物――社の方に視線を移す一方、
己はまだヴェルの方ばかり見ていた。
ためらいがちに右手を伸ばして手を握った。
何のぬくもりももたらさない手に何かを伝えるように。
我儘と言い切った、彼の願いは何なのか。
直接訊くことはしなかった。代わりに、]