……この国は、変わってしまった。と。
民達の中にはそう嘆いている者もおります。
ここのところは、緩やかな変化で。
渡り鳥の目を凝らしてもわかりづらくはありましたが。
この国はずっと変わっていたのだと。そうは思いませんか?
これまでは偶々、変わることで恩恵にあずかれるものが多かった、というだけで。
[温もりにすがるように、カップに指を伸ばす。]
私は……そうですね。
どちらでもない身ですよ。今までも、これからも。
往年の宮廷画家殿には、不謹慎と言われてしまいそうですけれど。
[避けられぬ斜陽への嘆きと、題材を前にした歓喜。結局のところ相反するものを抱えたまま、どちらにもなれないのだ。]